枕がわりに広辞苑

日常をメルヘンチックに過ごしたい男が、鍋をつつきながら書いたようなブログ。

転げる山手線

山手線のとある駅のホームで電車を待っていると「うぁのー?きょのでんしゃーはぁ?あきはっばらにいきますか?」と見るからにヨタヨタのおじいちゃんに話しかけられました。「秋葉原いきますよー」と教えてあげると、おじいちゃんはボクの後ろの列に並びました。
んで、いざ電車が来たんです。ボクはいつものようにササっと乗り込んだわけですがね。さっきのおじいちゃんがヨタヨタ歩いて電車に乗ろうとしているわけですよ!ボクが「電車に乗る→イイ位置を見つける→吊革の位置の関係で入ってきたドアの方を振り返る」っていう一連の動作を終えても、まだ電車に乗り込めないくらいにヨタヨタのおじいちゃん。そこに現れた外人2人!何も言わず、おじいちゃんにそっと手を差し伸べていました。
まぁ、ここで終わればいい話なんですけどね。そのおじいちゃんに誰も席を譲らないんですよ。病院ならば真っ先に看護婦さんが飛んでくるレベルのおじいちゃんに席を譲らないの!
かと言って、ボクもどうすりゃいいのかわからずにしているうちに電車は進みだします。「秋葉原まで数駅しかないし、逆に座ったり立ったりの方がツライのかなぁ?」と勝手に思い込むことにした瞬間!電車のスタート時の慣性の法則がさく裂した瞬間、おじいちゃんがまるでスローモーションのように後ろ向きに転んだのです!
背骨が曲がっていたことが幸いしたのか「ビターン!」という感じでに転んだんじゃなく。背骨の曲がり具合をうまく利用して、ショックを吸収しつつゆっくり転んでいく感じ。「うわぁぁぁぁ」って慌てて手を差し伸べたけど間に合わず、「おじいちゃん死んだ!!」と思ったのもつかの間。さきほどの外国人が「アーユーレディ?(的な言葉)」を発しておじいちゃんをキャッチ!キャッチと言っても、完全に尻もちはついちゃってる状態だけど。
すると外国人、ボクを指差して「ヘイユー!OK?」。どうやら「おじいちゃんを一緒に引っ張り上げようぜ、ジャパニーズ!」ってことらしい。断る理由もないので、おじいちゃんの腰を支えると外人の音頭「ワン、ツー、スリー!」でおじいちゃんを立たせることに成功!これが現代版、大きなカブと言ってもいいでしょう。
この光景を見た座席に座っている人が、たまらずに席を譲りましたがおじいちゃんは「もうすぐ降りますのでぇぇ。すいませぇぇぇん」と連呼していました。

今後は、ヨタヨタおじいちゃんには意地でも席を譲ろうと思いました。